1東京駅#1|Tokyo Station#1|Tokyo, 2020
2鶯谷駅#1|Uguisudani Station#1|Tokyo, 2020
3原宿駅#2|Harajuku Station#2|Tokyo, 2020
3渋谷駅#1|Shibuya Station#1|Tokyo, 2020

シフトする「アーキタイプ」

駅もまた終わることのない「スクラップ&ビルド」の構造物であるといえます。撮影を行った2020年もたくさんの改良工事や建替工事が行われており、49年ぶりとなる新駅の開業もありました。こうした中で、都内に残る最も古い木造駅舎である原宿駅がオリンピック後に解体されるというニュースを聞き、その前に撮影しておきたいという思いがこのシリーズを始めるきっかけとなりました。撮影時には既に新駅舎の使用が開始されていましたが、旧駅舎も現存しており新旧二つの駅舎が並んでいる状態で撮影することができました。

新駅舎と旧駅舎が「コピー&ペースト」の関係であるとは言えないかも知れませんが、そこにはある程度のアーキタイプ(=「潜在的同一性」)を見て取れると思います。この「アーキタイプ」を探るという行為は、「らしさ」を感知する行為であるとも言えます。こうした意味では、新駅舎の鉄骨とガラスの構造物は、駅というよりはむしろ商業ビルやオフィスビルに「らしさ」を感じるのではないでしょうか。